「カラスの勝手」

 ここ数日はあたたかい日がつづいている。これが「平年並み」らしい。ちょっと前まではかなり寒かったので、よけいにほっとする。
 今冬は寒い、というのが気象庁の見立てだ。しかし、よく外れるので外れてほしいと思う。やっぱり寒いのは困るからね。暑いのもいやだが、どちらかというと人間は寒さに弱いからのう。
 暖冬なら楽だけど。でも、季節感が感じられる程度には冬を味わいたい。ーーなどと、人間は勝手なことを考える。
 最近うちの近所のカラスの様子がおかしい。人間は勝手だが「カラスの勝手」は困るのである。
 おかしいのはある特定の連中だと思うが、クルマに異様な興味を持っているのである。たとえば、ワイパーのゴムを引っ張り出したり、ドアミラーに乗って鏡をつついたりするのである。
 あまり対策も考えずに放置していたら、そのうちワイパーブレードをダメにされ、ボディを傷だらけにされた。なかなかやるではないか。ーーと、感心している場合ではなくなった。
 これは明らかに領土侵犯および器物破損容疑である。捨ておけん。
 カラスの恨みを買うようなことをした覚えはない。むしろ、領空侵犯はおろか、多少目にあまる行為さえ見逃してやったりしているではないか。
 人ちがい、じゃなく、クルマちがいの逆恨みかとも思ったが、彼らはそれほど賢くない。
 なら、エサ不足か、認知症のカラスか、あるいは放射能の影響か、とも思ったが、動機は特定できない。
 我がクルマはどうせ年代物のポンコツカーなので、物理的な損害は多少腹立たしいけれど、精神的なダメージはない。むしろなぜ、彼らはそういう行動をとるのか、そっちを知りたい。
 捕獲してしめあげてドロをはかせようかと考えたが、たぶん「カア」とだけ発して余計なことは黙秘するにちがいない。
 だいたい捕獲がむずかしい。制空権は彼らにあるから分が悪い。話し合いが通じない相手だから、こうなったら皆殺し大戦争に突入するしかないかもしれない。
 しかしなぁ、あいつらは煮ても焼いても不味いらしいから、やっぱり懐柔策しかないだろうなぁ。(;。;)
(photo:美術館にて)