ミエコちゃんの行方

 あれ? いなくなっちゃったの? 脂ぎったおじさんたちにいじめられたのかな? えっ? 東京へいっちゃったの? やっぱり東京がいいって? う〜ん、それって大丈夫?
 そんなわけで、ミエコちゃんはいなくなってしまった。でも、何のあいさつもなしに引っ越して行って、ちょっと冷たいんじゃないかなぁ?
 いろいろあった(んだろう)ことには同情するけど、いくらなんでも、地元のキミを応援した人たちをコケにしてはいないかい。もちろんあの党の責任もあるけどさぁ。
 ーー今日は衆議院選の公示日である。新しい党が台風の目になりそうである。しかし、「混迷日本」の幕開けになることはまちがいない。
 もはや誰もが他人ごとではなく、選挙結果によってはガラリと景色が変わるのである。まあ一応我が国は議会民主主義制だから、突然明日からこうなりますよ、ってことはないにしても、法律や制度が決まってしまうと確実に風景は変わる。
 今回の選挙で政治が安定し、日本の未来が明るい方向に動いていく、ということはとても考えられないが、そういう方向への過渡期だと思えば希望は捨ててはいけない。
 選挙の投票率というのは、民主化して成熟をとげた国では、あまり高くならないのがふつうである。どうせ誰が首相になっても変わらないんだから投票なんて……という声をよくきく。
 強固な官僚組織がなかなか崩れないのは確かである。それでも3年前政権が交代して、いろいろ期待がふくらんだ。結果は失敗に終わったけれどーー。
 しかしそれより以前、いわゆる「小泉改革」によって世の中が大きく変わってしまったことは、まだ記憶に新しい。負の側面が大きかったものの、評価はべつとして、風景が変わったことにはまちがいない。
 かように、選挙結果によって世の中は変わる、あるいは変わる可能性があるのである。投票を棄権するなどもったいないことだ。
 とりあえず投票に行こうではないか。誰かに頼まれたとか、知っている人だからとかではなくて、自分で考えて投票しようではないか。
 熟女……じゃない、熟慮を重ねた結果、ミエコちゃんに投票することにした。ーーとしても、それはそれでいいのではないか、と思う。(・0・)
(photo:平戸にて)