先進国の後進性

 日本語教師になるとき、専門学校での学習をはじめ、多くの研修会や講座を経験した。
 あらかじめ了解していたことだが、この仕事はやはり女性の比率が高い。ある研修会では、参加者40人中男性が3人、という状況もあった。
 口の悪い友人は、ハーレム状態でいいじゃないかというが、「良い」という点がどこから考えても見い出せなかった。恐かったか、と問われれば、だまって手をあげる。
 日本語教師を仕事として従事している人の男女比率はそこまでひらいてはいないが、それでも女性が圧倒的に多い仕事に変わりはない。
 6〜7年前、ある病気の治療で1週間ほど入院したことがあった。これまで生きてきて、入院という経験は初めてだったせいか、ある意味楽しみにしていたところもあった。
 しかし、病院はリゾートや保養施設ではなかった。期待はすぐさま打ち砕かれた。あたりまえだが、検査や治療でとても忙しかった。あまつさえ最も苦しい晩は、男の看護師のお世話になった。
 もちろん、彼はとても有能な職業人でまったく不足はなかったが、じつをいうと、男の看護師だ女の看護師だ、ということで感情を左右される精神的余裕がまったくなかったのである。
 職業における男女差別は、少しずつ解消されつつあるようだ。
 しかし以前、助産師に男性が名乗りをあげて議論となったことがあった。結局は、今でも助産師は女性に限定された資格であるが、そもそも男女平等をうたっていても、生理的な感情で偏る場合も少なくない。たとえば、介護の現場で求められているのも圧倒的に女性である。
 ある統計では、女性の社会進出を、会社の役職や政治の場での議員比率ではかった場合、日本は先進国のなかはおろか発展途上国を交えてもずいぶんと遅れをとっている。
 いってみれば男社会である。閉鎖的な日本の会社の風土もなかなか変わらないが、政治の世界がともかく変わらない。男社会にすり寄り同胞の足をひっぱる女性議員も少なくないので、かなり根は深い。
 その点に注意して、同じような主張ならとりあえず男より女を選ぶ、というような観点から今度の衆議院選挙の投票先を検討してみるのも一考ではないだろうか。(*_*)
(photo:泉州市石井鎮にて)