夢、ときどき豚

 人が体験した話しを延々と聞かされることほど退屈なものはない。たとえば、旅の話し、観た映画の話し、読んだ本の話しーー。
 気安い相手なら、わかったわかった、といって話しをうっちゃることもできるが、そうでない相手の場合、それは拷問に近い。
 ようするに、自慢話のたぐいである。男にありがちなのは、仕事上のうまくいった話しや酒量自慢、あるいはくだらない “武勇伝” である。
 トシがいくと、自虐的健康ネタや闘病体験もその類だろう。我が子ネタ、孫自慢も入るかもしれない。
 もちろん、その話しに聞き手が共感したり興味があるならそれはそれでOKだが、まあ多くの場合そうではない。
 そのうえでこんな話しをするのも何だが、じつは今日は夢の話しを……。ーーいやいや、将来の夢ではなく(それもたいてい閉口ものだが)、睡眠中に見た夢のほうである。
 どうです。うんざりでしょう。これもその「退屈な話し」のカテゴリーですね。でもほんとうに、シチュエーションが変だったんです。
 先日夜中に、豚に襲われたのである。あろうことか、豚。5〜6匹いたかな。重かったし、臭気もひどかった。それで、呼吸が絶え絶えの息だったらしい。そうだろうな。で、連れ合いに起こされた。
 悪夢だった。しかし、どうして夢のなかに豚が登場するのだろうか。
 ここ最近豚とは縁遠い生活をしていたのにーー。豚をめぐる話しをしたこともないし、豚にかんする本も映像も見ていない。ましてや豚を蔑んだり、中傷したりしていない。
 ああ、豚肉は食べた。でも、平均的摂取量よりずいぶん少ないと思う。イスラムの人になってもいいくらいのもんである。あるいは、中国人にまちがえられたのか。
 かように、夢のメカニズムは謎である。しかし、ある程度研究されていると思うので、調べれば謎は解けると思う。
 夢がリクエストできればおもしろい。たとえば、美女に囲まれる夢を見たい、とか。でもそうすると、興奮して寝られなくなるのも困る。
 ーー退屈な話しでした。これでおしまいです。(m_m)
(photo:山陰本線和田山駅にて)