遙かなるブラジル

 サッカーはなかなか点が入らないからおもしろくない。と、ある知人はいった。なら、バカスカ点が入ればおもしろいか、というとそうではない。
 サッカーのおもしろさは、ゴールシーンの高揚だけではない。戦略や戦術、つまり攻防やかけひき、チームワークや個人の技が90分にわたって休みなく展開される。
 そこがおもしろいのである。もちろん点が入ればカタルシスを得、盛り上がるが、かといって大量得点の試合はたいていワンサイドゲームで緊張感を欠く。
 先日の日本対ブラジルの親善試合は、ワンサイドに近く0対4で日本の完敗だったが、内容はけっしてつまらないものではなかった。
 要は精度の差である。そこらへんに、サッカー王国と新興勢力とのちがいがあらわれている。ブラジルには、精度をみがく土壌が熟成しているのである。土台がちがうのだろう。
 おそらく長足に追いつくことはできないだろう。何年か後には0対2、と善戦するかもしれないし、1対2ぐらいに詰め寄るかもしれない。しかし、差は歴然としている。
 ある意味当然である。ブラジルと互角になれば世界のトップクラスだが、残念ながらそんなに甘くはない。
 さて、もうひとつサッカーの興味をそぐ原因は、テレビにある。どうしても画面はボールを追いかけるので、ボールからはなれている選手の動きがわからないのでる。その点、球場に足を運べば全体を俯瞰できるからおもしろい。
 しかし以前、W杯予選の日本対オーストラリアの試合を横浜まで観に行ったが、席がスタジアムのすり鉢のほぼいちばん上だったので、ピッチははるか下の、携帯の画面程度の大きさだった。
 しかも2月だったので、足もとから這い上がる冷気で試合どころではなかった。ビール片手に観戦どころか、風邪のウイルスに感染しそうだった。
 だから必ずしもライブがいいわけではないが、せめてテレビ画面の隅々まで見わたして観戦する、ということが楽しむ秘訣かもしれない。
 などと、いちサッカーファンは思うのであります。もっとJリーグの試合も中継してくれるとうれしいんだがーー。(^_^;
(photo:サッカーとは関係なく、ここは姫路城)