低迷期

 かつて、グラフィック・デザインの仕事を毎日バリバリやっていたころ、調子の波が周期的にやってきた。
 何事もそういう傾向があるとは思うが、ことデザインに関しては、ぱたりとアイデアが出てこなくなって、仕事が滞ることがたまにあった。
 逆立ちしても、リポビタンDを飲んでも、海岸で大声を出してもダメだった。寝付かれない夜のように開きなおって、映画を観に行ったり、山へ芝刈りに行ってもムダだった。
 もともと凡庸な頭とセンスだから、そう次々と泉のように斬新なアイデアが湧いてくるわけでもなかった。少ない資源をなんとかやり繰りしていたところに、突然スランプがやってくるのである。
 もっとも、「斬新なアイデア」なんてそうそうあるわけではなく、たいていは頭のなかにある以前に見たり聞いたりしたイメージから、あるいは今存在するもののなかから抽出して加工するのである。まあ、模倣ですね。
 たんなる模倣ならたちどころに仕事にかかれるのだが、やはりプロとしてそんなわけにもいかないのでやっかいだ。
 そう、じつは最近このブログがスランプなのである。
 書こうと思っていたことが、次々とつまらなく感じてしまうのである。集めてきて大事に仕舞ってあったものが、さて使おうと思って取り出すとガラクタだった、というようなところだろうか。
 それで、かつてのように逆立ちしようとしたら目が回りそうになり、栄養ドリンクを飲んだら気持ち悪くなった。映画を観に行ったが、テーマが重く気が滅入ってしまった。
 で、あのころはこの状態からどうやって脱出したのか思い出してみる。
 ーー体調をととのえることが第一、だったような気がする。心身のバランスが崩れているのである。
 そういえば、スキだらけである。怪しげな宗教に勧誘されると危ないかもしれない。近づいてくる美人には要注意だ。
 でもまあ、今が「底」だと思えば多少気は楽である。(;。;)
(photo:姫路にて)