ガスにはがんばってもらいたい

 去年、電気炊飯器を買い換えた。あのときも、家電量販店をまわって唖然とした。たかが炊飯器に7万、8万ですよ。
 なかでも10万円に手が届く製品が、一段高く鎮座していた。高い製品ほどご飯がおいしく炊ける、と店員は豪語した。はっきりいって、勝負は「釜」の開発競争だってさ。
 それはひとつの真実かもしれないが、そこまでのものかしら、と素朴に思った。
 されどーーといわれるかもしれない。でも、廉価米がつやつやの黄金粒に変化するわけでもあるまい。
 たしかに日本の炊飯器は優秀らしい。中国人がわざわざ日本で買って帰るくらいだから、おそらく折り紙付きだろう。
 それで結局我が家は、主流製品からはずれたかなり安価なものを買った。これでも十分なのである。
 ところがこういう廉価製品にも、ちゃんとこざかしい機能がついている。笑ってしまうのは、炊きはじめと炊き終わりのメロディである。でもあれは、はっきりいっていらない。
 こざかしいメロディは日本中にあふれている。いちばん普及しているのは、携帯の着メロだろう。あれはもう「文化」だ。ああいうことに血道を上げるのは日本人以外にいない。
 JRの駅もうるさい。とくに都市圏の駅は騒音の渦である。最小限の案内以外、子どもに注意するようなアナウンスや、ベルやメロディは不要である。
 公園や自然施設にBGMが流れていたりする。ラジオをつけて山に登ってくる人がいる。クマよけのつもりかもしれないが、害のほうが大きい。
 と、話しは変な方向に行ってしまった。
 それで炊飯器だが、ほんとうはガス炊飯器で炊いたほうがうまい。早く炊けるしコストも安い。いらぬ「釜」競争もしていないし。
 というか、ガス業界はもっと攻勢に出たらどうなのか。電気に押されっぱなしではないか。プーチンを呼んできてもっとPRしたらどうか。
 などと、少しガスの肩をもつ。だいたいオール電化は電力会社と家電メーカーの陰謀である。電磁波の問題もあるし。原発の問題もつながっているし。
 じつは、うちはかなり前からガス乾燥機を使っている。これがじつに重宝なのである。早く乾くしコストも安くつくし。それに丈夫である。
 ーーまた少しガスの肩をもつ。ガス炊飯器にすればよかった。と、ちょっと後悔。(O_O)
(photo:越前市、日野山にて)