運動会今昔

 運動会のシーズンである。
 僕は、とくに運動オンチではなかったが、小中学校のころは運動会がめんどうくさかった。執拗な繰りかえし練習がきらいだったし、何より動作を統一させられるのがいやだった。
 ときどき、何が気にくわないのか、何回もダメだしさせる偏屈な指導教師もいた。教員のストレス解消や自己満足に付き合わされたようなものである。まあ、あのころはまだ先生の権威があったんだろう。
 時代が下って自分が親となり、我が子の運動会を見にいった。
 しかし、たとえ我が子が出ていようとも、楽しいショーではないことを知っていたからすぐさま退屈してしまった。だから、朝から本部席に近いところに陣取って、ずっと観戦している親やジジババが異星人に思えた。
 8ミリビデオ(古いなぁ)で我が子(または孫)の姿を一部始終記録する趣味、というか、忍耐力もなかった。我が子がちゃんと参加していることを見届ければそれでよかった。ずいぶん薄情な親だったのだ。
 明日は我が母校の小学校の運動会だそうである。かわいい小1の姪っ子も、はじめての運動会である。
 連れ合いと、ちょっとのぞいてみようか、という話しをしていたが、考えてみると出過ぎたまねのような気もするので遠慮しとこうか、という方向になった。
 でも、偶然通りかかったふりをして立ち止まり、物珍しげに、あるいは懐かしげに見る、という手もある。
 または、少しはなれたところから、バードウォッチングのふりをして双眼鏡で見る、という隠しワザも考えられる。
 でもなあ、当局に通報される確率は高いし、ときには、巡回の警官に職務質問されかねない。狼狽してあわてて逃げる、という手もあるが、そこまで演じることもあるまい。
 いずれにしろ、変質者という噂が立って、ムラ社会で生きていけなくなってしまうではないか。
 ーー生きづらい世の中になったものである。はぁ〜(;_;)
(photo:アキアカネ法恩寺山にて)