マニュアル語のめんどうくささ

 コンビニとはあまりかかわりのない人生を送っていたつもりだったが、自営の事務所のコピー機を処分してからはずいぶんと足を運ぶようになった。
 でも後悔はしていない。なにせ使用料よりリース料のほうが高くついていたから、賢明な選択だったと自負している。
 とはいえやはりめんどうくさい。近くにコンビニがあることはあるが、歩くと5分くらいかかるのでどうしてもクルマを出してしまう。そこに先客がいたりするとさらにめんどうである。
 いちばんめんどうくさいのは、コンビニ店員の感情のこもらないマニュアルことばである。コピー機を操作しているかぎりは店員と向き合うことはないが、そのあいだ中他の客への応対が聞こえてくるのである。
 でも、もう慣れた。勝手にやっていなさい。客のほうも「いえいえ、どういたしまして」なんて思ってはいない。終始無言である。ふつうは。
 「きょうはきれいだね」などと、店員ねえちゃんにいおうものなら警察に通報されかねないだろう。「きょうは暑いね」だってやばいかもしれない。きっと、彼女は一瞬固まることだろう。
 まあコンビニにかぎらないが、日本全国どこへ行っても、サラリーマン店長、バイト店員ばかりなんだからしょうがない。
 しかしなあ、もうちょっと自分のことばで接客できないのかなぁ。「ほう」とか「なります」はやめてくれよなぁ。
 「生ビールのほう、お持ちしました」ーーほう、どっちのほうかな?
 「こちらギョーザになります」ーーすでにギョーザに見えるけど、どんなギョーザになるの?
 「ご注文のほう、以上になります。よろしかったでしょうか」ーー過去形? よろしい、とオレはいったっけ?
 大人げなく突っ込むつもりはないが、最近はアジア系のバイト店員も多く、彼らにそんなことばを覚えさせていいものだろうか、と日本語をおしえる立場の者として、ふと思う。(-。-;)
(photo:福建省崇武鎮にて)