デモは広がる。でも…

 いつまでものんきにヨーロッパの話しなど書いている場合ではなくなってきた。
 大飯原発再稼働をめぐっての首相官邸周辺のデモが、先週末で15万人(主催者側発表)規模にふくれあがった。
 おとなしい日本人にしては画期的なことだろう。それだけ人々の怒りが大きいことの証明である。政府は機動隊まで投入して阻止にかかる。いよいよ無視できなくなった証明だろう。
 しかし政治家の声があまり聞こえてこない。大メディアが報道しない、という問題も大きいが、今の政治家は徹底的に民意とズレている。
 民主党がいちばんわかりやすい。どうしてこれほど、国民がいやがることを平気で次々とできるのだろうか。マニフェストはどうなったんだろう。
 自民党でさえできなかったことをやっている。彼らは自滅の道を歩んでいる、といってもいい。
 これでは次の選挙で民主党は消滅である。そうなると、比較第一党となる可能性が高い自民党は、今ほくそ笑んでいるにちがいない。
 政局はさておき、あせりが見える政府の動きに今後注目である。
 不満があればデモで主張する。これは国民の表現手段である。民主国家であるなしにかかわらず、世界中で行われている。欧米ではデモへの人々のハードルは低く、気軽に参加するらしい。
 あの中国でも、毎日全国のいたるところで何らかのデモが発生している。要求や抗議の性質にもよるが、あの国でデモに参加するということは、多少なりとも決意がいることだろう。
 政治と国民の生活とは直結しているから、世界の国々では、たいてい国民は政治家の動きに敏感である。お上意識が強い日本は、その点鈍感である。
 この国では、あまり自分の主義主張を明確にしない付き合いが一般的である。人と議論することに慣れていないから、人との差異をあいまいにし、できるだけ歩み寄って和をはかろうとする。いきおい、意見のちがいから人格まで否定しかねない。
 したがって、急激な変化が起こりにくいこの国だが、流れが多少大きくなると一気になびくのも特長である。それは、恐い一面でもある。
 しかし、この原発再稼働反対の流れからしばらく目がはなせない。(O_O)
(photo:フィンランドの国会議事堂)