スマホの私的事情

 バカなやつ、といわれてもいたしかたない。でも、自分のせいだけではないのである。
 ケータイを替えた。つい数ヶ月前に、スマホに替えたことをこのブログにも書いたが、ヨーロッパに行く前にまた以前のような二つ折りタイプにしたのである。
 じつは、替える気はなかった。むしろヨーロッパで使いたいためにスマホにしたのである。しかし直前になって問題が発生したのである。
 今日び海外でも使えるケータイは珍しくはない。以前持っていたタイプは中国では何の問題もなく使えた。でもそれはヨーロッパでは使えなかった。つまり電波の接続タイプでいえば、CDMAの機種であり、ヨーロッパで主流のGSM対応ではなかった。
 それで、これはいい機会だしめしめと思って、家人の反対にも耳をかさず、両方対応のスマホに替えたのである。
 ところが、渡航前に携帯ショップで使い方を確認していると、応対してくれた若い女性店員が耳をうたがうようなことをいった。
 「海外でスマホを使うととても高額になりますよ」と。
 「メールはしないでください。できるだけ電源を切っておいてください」とも。
 寝耳に水、とはまったくこのことだろう。彼女が一瞬何をいっているのか理解できず、愚鈍な老人のようにやっとことばをしぼり出して、その理由をきいた。
 つまり、スマホに入っているアプリが、いつでもどこでも勝手にアップデートするので、そのとき接続される現地の通信会社によってはとても高額になる、ということらしい。
 まったくばかげている。日本の移動通信会社はバカではないのか。いや、バカではない。ちゃんと定額の、一日あたりの限度額を設定しているのである。もちろんバカ高い価格で。
 移動通信会社は、アプリについてはワタシらの管轄ではないから知らないよ、という。巧妙である。
 日本の移動通信料金は、世界的にみてもとても高いという。しかも料金のしくみが複雑怪奇である。利用者を迷宮に入れてわからなくしている、といってもいいくらいだ。彼らは、ただでさえ貧乏な若者から高額な料金を巻きあげて、ヒヒと笑う悪代官のようである。
 しかし、日本のケータイやスマホの、こざかしい盛りだくさんの機能はじつにうっとうしい。いらない機能にはお金を払いたくない。
 まあ好意的に考えて、スマホはまだ発展途上なのだろう。メールと電話の人にはまったく必要ではない。むしろ使いにくい。
 で、もちろん家人には嘲笑された。(+_;)
(photo:タンペレにて)