プラハの道

 フィンランドという国に入国したが、入国審査ではEUに入国したことになるのである。わずらわしい入国カードやビザは必要なく、パスポートを提示して2〜3の質問にこたえるだけでOKだった。
 入国(EU)の目的は? どこの国へ行くのか? 日数は?――
 僕は、チェコ(Czhch)の英語発音がうまくできず、係官から問い直された。何回か繰りかえしてようやく納得してもらったが、練習しなかったことを悔やんだ。おそらく向こうは理解したのではなく、めんどうくさくなっただけなのだろう。
 そのチェコに移動した。ヘルシンキから首都プラハまで、約2時間のフライトだ。
 肌寒いフィンランドにくらべるとプラハは少し蒸し暑く、気温も高かった。空港からの満員のエアポートバスに揺られプラハ中央駅に到着したときは、車内の暑さと身動きがとれなかったストレスでふらふらの状態だった。
 駅からスーツケースを引いてホテルまで向かったのだが、ここは石畳の道だということをすっかり忘れていた。
 つまりホテルまでの700〜800mは、さながらスーツケースの耐久テストコースだった。空港からホテルまで運んでくれる「ミニバス」を利用しなかったことを悔やんだ。
 旅というのは、予想外のことに遭遇して悔やむことが多い。まあしかし、それが旅のおもしろさなのだが。
 ヘルシンキの静謐さにくらべると、プラハは町の規模がひとまわり大きく、人も多く華やかだった。街行く人々の顔立ちも、いちだんと多国籍になっているような気がした。
 ヨーロッパきっての町並み、プラハの旧市街を歩いていると、次々と歴史的な建造物があらわれる。
 いちいち感嘆の声をあげ、だいたいが高い建物だから空を見上げて、そしてシャッターを切る。足もとの石の凹凸につまずき、段差で足カックンになる。
 じつに情けない。典型的な、マヌケ面した日本人だろう。人ゴミではスリに気をつけているが、おそらくスキだらけにちがいない。(+_;)
(photo:上はプラハ旧市街。下はカレル橋からのモルダウ