世界の指導者、男と女

 中国で生活していたときは、だいたい政治と宗教の話題はタブーだった。学生相手の授業でも注意していた。
 そうはいっても、ときどきは政治方面の話しになることもあった。もちろん国情や政策のことではなく、たいがいは国のトップや指導者の話題程度だったが。
 もっとも、初級クラスの学生は込み入った話しをする日本語力もないので、そのあたりがせいぜいだった。でも、中級以上のクラスでは、ときどきその方面に興味をもつ学生が挑発してくるので、タブーの領域に入ってうかつな発言をしないよう自制した。
 そんなわけで、まずお国がらを考慮すれば、胡錦濤さん、トウ小平さん、周恩来さん、毛沢東さんのなまえがあがる。つづいて、オバマさん、プーチンさんあたりが順当に出てくる。
 じつは現職政治家にかぎっていえば、学生に圧倒的人気なのは、国の内外を問わず、温家宝さんなのである。とくに女子には圧倒的で、やさしそうでハンサムなんだそうである。なるほどな。
 キャメロンさんやサルコジさん、メルケルさん、李明博さんを知っている学生もいたが、やはり認知度は低い。
 意外なことに、あの当時の “将軍様” もあまり知られていなかった。とくにこの人はタブーにやや抵触するので深追いはしなかった。
 学生は女子が多いので、何かのついでに世界の女性指導者の話しをしたこともあるが、ドイツのメルケル女史以下ともなると未知の世界である。まあ、そんなことに興味がある学生も少ないだろう。学生でなくとも、ふつうはそうだよなぁ。
 じつは世界では、がんばっている女性トップがかなりいるのである。
 大国ブラジルのルセフさんやアルゼンチンを立て直したフェルナンデスさんをはじめ、オーストラリアのギラードさん、コスタリカのチンチージャさん、ノーベル平和賞を受賞したリベリアのサーリーフさん。
 アジアでは、タイのインラックさんや台湾総督選挙をたたかった蔡英文さん、次期大統領候補とまでいわれている韓国の朴槿惠さんがいる。そして、中央政界に出てきた、ビルマのスーチーさんの話題は記憶にあたらしい。
 いずれにしろ、やっぱり学生からどうしても出てこないのが、我が国のトップのなまえである。(+_;)
(photo:厦門市コロンス島にて)