モヤモヤの事情

 分類すれば、まちがいなくスポーツマンタイプではない方に入ってしまうだろうな、とときどき思う。
 小さいころから、とりわけ熱中したスポーツがあったわけではないし、運動神経も並以上のものではなかった。
 なにせ基盤となる中学校時代からすでに、体育会系のノリにはついていけないことがわかった。思春期のモヤモヤした気持ちはスポーツでふり払うべし、という日本の中学校のプロパガンダを受け入れられずに、中学校時代はずっとモヤモヤしていた。
 でも、部活をしなかったわけではない。“帰宅部員” は、へたをすると人非人のごとく蔑まされるので、一応運動部には入って隠れ蓑をつくった。
 そこは部員が多かったので、できの悪い連中はかたまって運動場の隅でテキトーに練習をしていた。しかし、やはり体育部はピラミッド組織で実力の世界。先輩やスター選手が幅をきかすものである。
 ここでもモヤモヤが溜まってしまった。もう少し真剣に取り組めば、いくらか状況は改善できたかもしれないが、どう考えてもレギュラーの一角に入れるとは思えなかった。
 だから中3になるとさっさと辞めた。隠れ蓑が必要なくなったら、少しモヤモヤは晴れた。
 とはいえ、スポーツはきらいではない。チームスポーツのすばらしさも理解できる。しかし、野球をすれば球が来ないことを祈り、サッカーをすれば、敵のゴール前でもなお味方にパスを出しかねない。
 たぶん、戦闘能力が欠如しているのだろう。肉弾相打つ競技は論外だろう。草ばかり食べてきたからなぁ。
 今日は、高校生の甥っ子のサッカーの試合を見にいった。広いピッチを縦横に走るまわる若者たちを見ていると、彼らの身体からほとばしるエネルギーが、モヤモヤと立ちのぼって大気へと昇華していくような気がした。
 それは、かつてのあまり上等ではない自分のモヤモヤより、はるかに清々しく生気に満ちたものだったろう。……たぶん。(^^ゞ
(photo:カラスノエンドウ。庭の雑草より)