本屋にて思う

 外出すると、ついふらふらと本屋に入ってしまう。外国でも寄ってしまうので、かなりの依存症である。
 通う本屋はだいたい数軒に決まっているが、あたりまえだが、どの店も売れ筋の本はだいたいおなじ品揃えである。
 世相がストレートに反映される経済書や国内・国際事情の本のなかでも、常にコーナーの一角を占めている本に中国関係のものがある。いわば「常連さん」といってもいい。
 近年世界でもっとも注目を集めている国であり、昔から日本と密接な関係があって、おなじ東アジアの一員である、という事情からすれば当然のことだろう。
 しかし、冷静に分析や報告、論評されたものより、いくぶん揶揄されたものや、はっきりとした嫌悪が含まれた本が少なくない。
 たとえば、日本と関係が深いもうひとつの大国、アメリカとくらべてみても、それは際だっている。
 見方を変えれば、日本人の国民感情の反映ともいえるのだろう。アメリカに対して好感を持つ国民が圧倒的に多い以上、やむをえない。
 なにも中国の肩を持つわけではないが、出版の世界だけではなく、マスコミ全般にそういうアメリカ偏重の姿勢があるのだろう。
 “同盟” 国として当然なのだろうか。でも、いつから “同盟” になったのだろうか。ほんとうに同盟国だろうか。とても対等にはみえない。どうみてもアメリカの属国としか思えない。
 国と国との関係でいえば、戦後はアメリカとの付き合いのほうが深いし親密である。中国が “眠れる獅子” の時代には、アメリカとよろしくやっていればそれでよかったのかもしれないが、今やそうではない。
 やはり情報不足である。僕たちはもっと中国のことを知らなければならない。
 中国なしでやっていけるのなら問題はないが、これからは2つの大国の間をうまく泳がなければ、日本の国際的な地位もどんどん低下していくような気がする。
 今年は中国の指導者が交代し、アメリカの次期大統領選挙がおこなわれる。世界中が注目している。もしかして、日本の指導者も、また回転ドアから外へ……しかし、誰も注目していないだろう。(+_;)
(photo:鞆の浦の猫)