在泉州最近身辺雑記

 “黄金の日々” はかんたんに終わってしまった。いろいろ問題がある寮だったけれど、住めばそれなりになじんでくるものである。
 その寮生活も終わりをつげた。昨日は引っ越しの荷造りに明け暮れた。
 運び込んだときよりも、去るときのほうがどうしても荷物が多くなる。とくに商売柄、本が多くなるのはしかたがないが、あっちこっち移動させるのにはやたら費用がかかってかなわない。
 少し前に、郵便局から郵送専用の段ボール箱をいくつか買ってきた。そういう準備行動をとっていたのだが、気合いだけで作業は一向に進まなかった。こう暑いと、仕事が終わって寮に帰りビールを飲むと、その日はもう閉店、という気分になる。
 さて、この国でちょっとした荷物を送るときには、郵便局で販売している専用段ボール箱を使用しなければならない。これがまた高くて、使い勝手が悪くて、品質が悪くて、というシロモノである。
 独占販売。どこかで誰かが利益を得ている。まあこの国では、なにも郵便段ボールに限ったことではないが。
 結局、容量約60リットルの段ボール8箱を要してしまった。冬の服がかさばったようだ。
 それを3階の部屋から運び出し車に積み、郵便局に持ち込み、手続きをする。炎天下、それだけで汗が60リットルほど出たような気分である。
 郵便局で中身をチェックするため、封をして持ち込んではいけない。ところが、量に押されたのか、学校に信用があるのか、局員のおばさんは中身も見ずいきなり梱包しはじめた。
 これだけでも助かったが、送り状がめんどうくさくて、こっちはけっこう手こずった。
 日本へ送る荷物は本の重量がこたえたのか、SAL便でもけっこう高くつき、最後だけ現金で渡された給料の大半が送料に消えた。僕は何のためにこの一ヶ月働いたのだろうか。
 がらんとした寮の部屋にもどると、生活の匂いが消えていた。ここはもう僕の居場所ではなくなってしまっていた。なんだか埃ばかりが目についた。(-。-;)
(photo:星塔。安海鎮にて)