めぐり来る別れ

 中国は学期末である。長い夏休みを経て、9月から新学期である。僕が週一回出張で通う国立の専門学校も例外ではない。
 先週、最後の授業が終わった。といっても、最終日は期末テストだ。
 そのテスト終了後少し時間があるので、とくに1年生のクラスでは少しみんなとおしゃべりしようか、と思っていた。
 テストが終わると、生徒から餞別、というかプレゼントをいっぱいもらった。かかえきれないくらい、といえばおおげさだが、気持ちの方はほんとうにかかえきれないくらいだった。
 とくにうれしかったのは、ひとり一人全員が写真を貼りメッセージを書いた、分厚いアルバムだった。担任の先生まで入っていた。
 いつもは騒がしく小生意気で、一筋縄でいかない連中も、このときばかりはずいぶん可愛い少年少女たちに見えた。授業態度にいろいろ問題はあったけれど、まあ許してやるか、と思ってしまった。甘い先生である。
 いつも先頭に立って騒がしく、僕の中国語の発音をまねてみんなから笑いをとっていた生徒がいる。僕もときどき、彼女の口癖をまねてやり返していたりしていた。
 そのいつもの声が聞こえないことに気がついた。見ると、目を真っ赤にして下を向いていた。
 やばい。あいつに泣かれてはたまらない。こっちだって、トシとともにあの腺がかんたんに決壊するようになっているのである。
 あわててあいさつをして、教室を後にした。
 彼らにしてみれば、週に一度やって来る、日本人のおかしなオッサン教師は物珍しかったのだろう。まあ僕にしても同じである。
 貴重な経験をさせてもらったよ。なんだかこちらこそ感謝である。
 我度过了快乐的日子。谢谢你们。加油吧! 再见! (^o^)
(photo:南国。赤い花がよく目立つ)