ノーベル賞のヒント

 およそ「賞」という名のつくものに、公平なものはない。
 世界で最も有名で、広く知られている賞のひとつにノーベル賞がある。この賞だって例外ではない。とても公平とはいいがたい。
 たとえば国別の受賞者数をみると、一位がアメリカで300人を超えている。二位はイギリス、三位はドイツで、100人前後である。ちなみに四位はフランス。日本はというと、現時点で8位。受賞者は18人である。
 もちろん、受賞者の偏りだけで不公平だと決めつけるわけにはいかないが、欧米に傾斜しているのは疑いようがない。
 じつは、その公平さで意義を唱えているのが、ほかならぬ中国である。
 受賞者はまだいない。去年はじめて獄中で平和賞を受賞した中国人がいたが、当然ながら中国政府は認めていない。だからまだゼロである。
 過去には、中国籍ではない中国人が受賞したケースもあった。しかし、いまだに中国はノーベル賞から遠いところにいる。
 授業で、ノーベル賞がテーマの読解問題をやった。学生の関心がいまひとつであることから、彼らもこの問題のデリケートなところを認識しているようだ。こちらも、深追いをさけるようにさっさと終えた。
 今や世界の超大国としてアメリカと肩を並べようとしているこの国にとって、ノーベル賞はやはりおもしろくない問題だろう。なぜ受賞者が出ないのか。
 GDPで軽く日本を抜き去って勢いよく遠ざかって行く姿は、低迷日本から見るとじつにまぶしい。
 しかし、たとえば、かつて日本がGDPで世界第二位に躍り出たときには、すでに世界で通用するブランドをたくさん育てあげていた。ところが今、中国発のブランドはというと……。
 そこらへんに、ノーベル賞につながるヒントがありそうな気がする。この項はいずれまたあらためて考えてみたい。(*_*)
(photo:西湖の夕暮れ)