無法地帯を行く

 道を歩いていると、前方からやって来たバイクや自転車、三輪リキシャーとよく “お見合い” しそうになる。
 引きつけられるように、どうしてもそうなってしまうので、自分のよけ方に問題があるのだろう、とずっと思ってきた。
 ところが、最近ある法則を発見したのである。法則、というにはいささか大げさかもしれないが、明らかに中国(あるいはこの地方)独特の傾向をみつけた。
 たとえば日本では、道を歩いていてバイクが前方からやってきた場合、まちがいなく人は路肩側、バイクは道路側ですれちがうだろう。よほどの例外ではない限り、教習所でもそういうふうに教わったはずだ。
 しかし中国ではそうではない。人と路肩側の間に多少スペースがあれば、まちがいなくバイクなどは路肩側に入りこんでくる。
 そこに齟齬があることに気がついた。どうもこちらの交通ルールでは、人は交通弱者と認識されていないようである。
 また、たとえば信号が青だといって鼻くそをほじりながら歩いていると、猛スピードの右折車にはねられかねない。車は常時右折OK(車は右側通行)なのである。横断歩道なども、車にとってはまったく関係ない。
 車が交差点で左折するために、交差点の中央まで出て待っているとバカをみる。後続車は、対向車が来ようが来るまいが次々と、強引にコーナーを内回りして曲がって行く。
 いうなれば、路上は無法地帯である。歩道を歩いていて、歩道を走ってきた車にクラクションを鳴らされたのも、一度や二度ではない。
 以前にも書いたが、人々は譲ることをしない。譲ればすぐに解決することでも、大声を張り上げて、お互い相手を非難する。そういうシーンはいくらでも見られる。
 まあ、いいとか悪いとかいってもしかたがない。文化のちがいだから。
 最近では、二輪車を路肩側に入らせないように、意地になって歩いている。しかし、相手も意地になって来たら……ちょっと困るけど。(^^ゞ
(photo:典型的な泉州っぽい建物)