蚊学の傾向と対策

 今日などは31度である。ろくろく春を満喫しないうちに夏かよ、と毒づきたくなるような暑さだ。
 本格的な夏になれば、31度程度なら「今日は涼しいね」というあいさつが自然と出てくるくらいだが、まだ身体が夏の体勢になっていないから、今の時期はこたえる。
 当然、学生もぐったりしている。教室のクーラーもまだ入らないので、うつろな赤い目をして、日本語どころではない状態だ。
 ゴキブリや蚊も一気にさわぎだした。先日、ゴキブリの一斉駆除があった。消毒機を背負った係員が側溝や下水菅を消毒していった。なんだか怪しい白い粉をふんだんに蒔いていった。
 次の日、道路や住宅の周りには息絶えた大量のゴキブリの姿があった。なかには、まだ体を痙攣させている奴も見かけた。武士の情け、介錯してやろうかと思ったが、そのうち車かバイクがしてくれるわ、と思って通りすぎた。
 このところ毎晩、蚊の襲撃に悩まされている。ちょうど寝入りばなを襲ってくるたちの悪いやつらなのだ。眠い目をこすりながら蚊取り線香をセットするが、喚起の悪い寮の部屋はまたたく間に煙が充満する。
 干してあったパンツやシャツは一気に燻製となり、蚊取り線香の香りがする下着と化する。それもまたオツなものだが、のどが痛くなり息苦しくなるのには困る。
 しようがなく線香を途中でやめるわけだが、そうするとまた少し間をおいて奴らが襲撃してくる。きっとどこかでじっと待機しているのにちがいない。日本の製品では、大虐殺は不可能である。
 だったら強力な中国製を、と思うが、今度は我が身まで心配しなくてはいけなくなるので、新兵器導入は慎重に行わなければならない。
 去年は夏の盛りにはあまり現れず、夏の終わりになってひんぱんにやってきた。しかし、毎日蚊取り線香の香り付きパンツをはきながら、なんとかやり過ごした記憶がある。
 部屋のホウサンダンゴは取り替えたし、当面の敵は蚊である。今作戦を練っているが、中国製最新化学兵器に頼るのは、最後の手段にしたいと考えている。(-。-;)
(photo:深沪鎮、烽火台跡にて)