停電事情

 2月にネパールへ行ったときは、首都のカトマンズ一帯は一日の大半が停電だった。
 ホテルにいれば、自家発電で多少補ってくれていたが、それでも毎日不自由を強いられることに変わりはなかった。
 僕たちは通りすがりの旅行者にすぎないが、そこで生活している人たちはたまらない。友人などは、仕事にならないという。そのことば通り、産業は停滞を余儀なくされている。
 街へ出て食事しても、冷蔵庫がストップしている可能性があるから、食べる物にも気をつけなければいけない。
 そんな、停電なんていう事態は発展途上国の話しだ、とばかり思っていたら、ここへきて日本の首都圏が停電だという。
 ついこの前まで、落ち目ではあるが世界2位のGDPを誇っていた、いわゆる先進国の一員に名を連ねる国の首都の話しである。未曾有の惨事とはいえ、一方でちょっと情けない気が、どうしてもする。
 世界中から、震災や原発事故への同情の声が集まっている。しかし、額面通りに受け取っていいものかどうか。
 被災者への激励はさておき、この厄災に対する日本という国の対応力は、おそらく世界中から冷徹な目で注視されていると思う。な〜んだ、あんなに脆い国なのか、と思われようなイメージダウンは、最小限におさえなければならないだろう。
 これからの日本は、ある意味外国人頼みである。この国が成熟していくためには、国の内外を問わず、外国人といっしょにやっていくことが大切である。
 とりあえず、難問山積である。エネルギー政策から見直す必要があるだろう。電気はどこから来るのか、そのことをあらためて考えた方がいいかもしれない。
 そして、自分たちはあまりにも知らないことがたくさんあり、これまでそれらをあまり知ろうとはせず、ただ毎日の狭い範囲のことばかりに気をとられていたのである。
 ところで、ここ泉州市でもときどき停電がある。もちろん地震や雷のせいではない。停電の時間は、せいぜい数秒から、長いときで1、2時間程度だが、なぜなのかはわからない。(*_*)
(photo:安海鎮、石井書院にて)