中国的珈琲

 ときどき無性にコーヒーが飲みたくなる。街に出れば飲めるところはないではないが、まあ大概はおいしくない。
 だいたいお茶どころの福建省で、コーヒーが飲みたいなどと思うのは邪道なのだろう。思うぐらいはいいのかもしれないが、うまいコーヒーを求めてもムダだと、最近わかった。
 文字どおり、お茶を飲むという意味の「喫茶店」はたくさんある。しかし、日本人がイメージする「喫茶店」はとても少ない。喫茶店文化が日本とちょっとちがうのだろう。
 そんな、コーヒーが飲めるいわゆる「喫茶店」は、この町ではまだまだ一般的ではない。高級なイメージがあり、実際、所得の高い層が利用しているようだ。日本の物価水準で考えると、コーヒー一杯2,000円から3,000円ぐらいの値段である。
 では、一般的な若いひとたちが、この土地の特産であるお茶が大好きか、というとそうでもない。やはり、日本の若者と同様、ソフトドリンク系が好きである。
 しかし、小さいころから甘い飲み物に親しんでこなかった連中も少なくない。水で十分だ、という。飲み水さえ買わなければいけないので、そこらへんは日本といくぶん事情がちがう。
 それでコーヒーの話しだが、しょうがなく、僕はインスタントで我慢している。ドリップ形式の、個装したレギュラー・コーヒーを日本から持ってきたが、とっくになくなってしまったからだ。N社のインスタントなら、だいたい日本と味は同じだ。
 もちろん大きなスーパーに行けばコーヒー豆は売っている。しかし、まだ試したことはない。高いし、一袋買ったところで、一人だから長く保存すると湿気るからだ。香りもなさそうだし。
 というわけで、多少コーヒーに飢えている。せめて、早くスターバックスが進出してくれることを願うばかりだ。
 ときどきマクド(麦当労=中国語)でコーヒーを飲むが、これはコーヒーだと思って飲むしかないので、悲しい味がする。(v_v)
(photo:石獅市祥芝港)