不好意思的晩上

 2年ほど前、アンジェラ・アキの『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』という曲を、たまたまNHKの番組で初めて耳にした。そのときに、涙腺を制御する脳の部分がマヒしたのか、なぜかぼろぼろ涙が出てきた。
 そんな体験をしたのは久しぶりだった。以前にもあった。それははるか昔、20歳ぐらいのころだったと思う。
 13日のブログにも書いた、イーグルスの『デスペラード』という曲を聴いたときがそうだった。ピアノのイントロでもうすでにおかしくなった。
 そして、そのころもう1曲あった。渡辺貞夫の『マイ・ディア・ライフ』だ。
 だからあれから30年あまりたっている。
 そして今回も、あまり間を置かずにもう1曲反応した。アンジェラからしばらくして聴いた、夏川りみの『島々清しゃ』がそうである。忙しいことだ。
 青春時代に親しんだ2曲と、中年もいいところにさしかかった今日このごろに聴いた2曲が、結びついているとは思えないが、なぜかふたたび同じようなことを繰り返したのだ。
 感性があのころにもどったのかもしれない。……な〜んてことは、まずない。残念ながら、感性はますます鈍磨している。
 イーグルスをよく聴くなどと先日書いたが、したがって、できるだけ『デスペラード』はさけるようにしている。寮に夜ひとり、曲を聴きながら涙している中年おっさんの図、なんてのは哀愁どころか気持ち悪いだけである。
 今日、僕のクラスは最終日だった。主たちがいなくなってがらんとした教室を見渡してみると、あの騒々しく、手を焼かせた生徒たちも、急に懐かしく思えてくるからふしぎなものだ。
 いつも居眠りしていたX。毎日のように遅刻してきたYやD。許してやるか。
 で、今日は寮に帰って、うかつにもアンジェラをかけてしまった。(v_v)
(photo:コロンス島にて)