油過多油

 ここS市では、鄭成功という、明時代末期の武将が有名である。民族的英雄である。日本人の母をもつことから、近松門左衛門の『国姓爺合戦』にえがかれている。
 鄭成功については、いずれこのブログでもとりあげたいと思っているが、今日はおなじ近松の『女殺油地獄』から話しをはじめたいのだ。
 前回は「水」の話しだったので、そうくれば今回は「油」。油といえば、なぜかその近松人形浄瑠璃(現在は歌舞伎になっている)を思いだしたのである。
 それだけのことなのだ。なんという長いイントロなのだろうか。しかし、近松の油の話しはやや凄惨ではあるが、食の油に話しをうつすと、ここの料理はほんとうに “油地獄” である。
 とにかく料理に使う油の量がすごい。ギトギト。ヌルヌル。コテコテ。草食系男子(女子もか)なら、見ただけでお腹がゴロゴロ鳴りそうになる。
 以前このブログでも紹介したが、青菜の炒め物などは、山盛りをくずしていくと、ついには青菜が油の海にういている状態になる。
 スーパーでは、洗剤のバーゲンセールかと思うくらい、大きなプラスチック容器に入った食用油が積みあげられている。値段もピンキリであるが、庶民は安ければうれしい(はずだ)。
 でも心配なのは、その品質。なんでもありのこの国のこと、おそらく劣悪なものもありそうだ。品質のわるい原料を使ったり、廃油からリサイクルして再生産したり、あげくには、生ゴミから抽出していた業者がいたり。当局の摘発にあった者も少なくないようだ。
 たくましいといえばたくましい。消費者もたくましい。製品にはいちおう品質表示欄はあるが、おそらくだれも信用してはおるまい。
 それにしても、あれだけ油を摂取しているにもかかわらず、肥満体の人が少ないのはなぜだろうか。厳しい気候のせいなのか。まいにち戦うせいなのか。肉もたくさん食べているはずなのに、今のところ謎である。
 僕もまいにちのように外食のお世話になっている。しかし、体調がわるいときは気をつけないといけない。ときどき、わるい油に当たりませんようにと、呪文をとなえる。
 アブラカタブラ(油過多油)〜! (^_^;
(photo:海外交通史博物館の展示から)