たかがファッション、されど

 日本ではいまだにチョンマゲをした侍が街を闊歩し、女はみな着物すがたの芸者ガールである。
 などと、最近まである国の教科書にそう紹介されていたらしい。ちょっと詳細は忘れてしまったが、先進国だったような気がする。
 その伝でいうと、中国では男はみな中山服を着用し、女はすべてチャイナ服である、と思っている日本人は……さすがにだれもいないだろう。
 街でみかける人の服装は、日本とさほど変わらない。流行にうるさい人がみれば、少しちがうなぁ、というかもしれない。ファッション関係者なら、けっこうちがうぜ、と思うかもしれない。服飾オタクになると、で〜ぶちごわ、となぜか金沢弁でいうかもしれない。
 僕はシロウトだからあまりわからないけれど、年配者のスタイルは日本より自然なような気がする。とくべつファッショナブルなわけではないし、流行を感じさせるわけでもないのだが。
 う〜む、これはたぶんふだん着だからではないか、と思われる。それがどうしたの世界で、迷いがないのだろう。ウチとソトの境がたぶんゆるい。色調は南国だから少し明るめだけど。
 いっぽう若者はというと、う〜む、よくわからない。共通した流行のなにかがあるとは思えない。日本のように、とりあえずみんなと同じ、というものはないようだ。地方都市だからだろうか。
 もちろん、チャイナ服すがたの女性なんて……と思っていたら、先日バスに乗りあわせたのである。念のため申し添えますと、あの深いスリットの入ったアレではありません。素敵なワンピースでした。
 彼女が下車するときに、おもわずつられてついて行きそうになったが、思いとどまった。ワナかもしれないしな。
 このまちはバイクやスクーターが庶民の足だ。とくに、女性はほとんどスクーターだ。日焼けを気にするのは中国でも同じ。彼女たちは、シャツをうしろ前に着てさっそうと走る(写真参照)。
 流行をひとつみつけた。(^_^)