日語難嗎(第一次)

 日本語はむずかしい言語である、と思っている日本人は少なくないと思う。
 日本語は膠着語に分類されるので、たとえば助詞や助動詞の使い方などは、非膠着語圏の話者からみればたいへんわかりにくい。また、敬語やウチとソトのことばも多様で、当の日本人だってうまく使いこなせない。
 今、ギャンブル・スキャンダルで窮地に立たされている大相撲を、ここ最近ささえてきたモンゴルの力士たちの日本語のうまさに感心したことはないだろうか。彼らの母語モンゴル語は日本語と同様膠着語であり、しかも文法上の構造が似かよっているからだ、といわれている。
 その例でいえば、韓国語母語話者も比較的日本語を習得しやすい、ということになる。
 僕は今中国にいるが、では中国語はどうかというと、これがじつはかなりちがう構造の言語なのである。「漢字」という共通する文字をもっているので親近感をいだきやすいが、文法上はむしろ英語などにちかい。
 だから、学生たちに日本語をおしえると、漢字の習得にあまり問題はないが、まず「ひらがな」と「カタカナ」でおどろき、それから文法で怒りの声をあげる。
 とりあえず、あのミミズがのたくったような文字をおぼえるのは、かなりたいへんだ。中国語の簡体字にはない、あんな曲線だけでできている文字なんてぞっとするにちがいない。おしえる立場にありながら少し同情してしまう。
 日本人だって、タイ文字やディバナーガリー文字(インドなど)をおぼえようとすれば、鼻歌まじりで、っていうわけにはいかない。
 とはいえ、英語やフランス語などのインド・ヨーロッパ語族の人たちが日本語を学ぶよりも、中国語母語話者のスタートラインは少し前よりかもしれない。(次回につづく)
 前回は、尾籠な話しでかなり品位を下げてしまった。自省して襟を正し、アカデミック?な話題を2回にわたってお届けしようと思う。ていうか、これくらい知っとるわい、と日本語教師のかたがたからはお叱りをうけそうですが。(^_^)b
(photo:暑くって商売どころではない)