誘惑の間諜

 神でも降りてくれれば、残りの人生、教祖として楽に生きていけたものを。とつぜん脳裏に降りてきたのは、架空の人物の固有名詞。
 イリヤ・クリヤキン
 ボニョの父親フジモトが、海底の奥深く秘密の井戸にしまってあったような人名。それが、何十年ぶりかに眠りからさめた。
 彼は、イギリスのスパイものテレビドラマ、『0011 ナポレオン・ソロ』の主人公ナポレオン・ソロの相棒。たしかデビッド・マッカラムが演じていた。主役のロバート・ボーンより人気があった。たしか僕が小学生のころだったように記憶している。
 伏線があった。CCTV中国中央電視台)である。一日中ニュースばかりやっているチャンネルがある。あまりわけはわからないが、なんとなくわかるので(わけわかりませんね)、けっこうこのニュースチャンネルをみている。
 日本でも報道されたと思うが、最近ロシアの美人スパイの話しがくり返し流されたのである。これでもかの、ひたすらニュースのチャンネルだから、まいにち何回となくあの美人スパイの顔を見るわけだ。まあ、ことの顛末は省略するが。
 そういえば、イリヤ・クリヤキンも美女にはめっぽう弱かった。そう、やっとつながった。
 しかし、テレビ字幕にでてくる中国語は「間諜」なんだね。なんだか趣があります。あわてると変換ミスをして、ある医学用語がでてきそうだ。
 またしてもヨタ話しに走ってしまった。反省。暑いので許してほしい。今日は学校の話しを書くのであった。
 さて、授業は50分で1時限。午前中4時限、午後2時限だ。今は夏期コースだけで、それを3人の日本人教師でまわすので、ワリと楽ではある。と思っていたのだが、相手もなかなかであった。
 あの年ごろの自分を思ってみても、そりゃあそうだろう。ちゃんと勉強するわけがない。ゼロからだから、あっという間に差ができた。それをフォローするのがもちろん教師の役目ではあるが、敵は遊びたいさかり。しかも誘惑の多い夏である。
 放課後、補習のまいにち。ときどきすっぽかされる。暑さで、夕方には思考停止してしまう。給油サインの赤ランプが点滅。蚊の楽園。ゴキブリの跳梁跋扈。
 “完調” にはほど遠い。(-。-;)
(photo:街を走る三輪リキシャー)