怒りの矛先
いささか旧聞に属してしまうが、「保育園落ちた日本死ね!!!」はとても秀逸なコピーだったと思う。
どこがすごいかといえば、この短いフレーズのなかに今の日本社会がかかえている問題が透けて見える点である。
まずは「保育園落ちた」というところ。
落ちたということは、当然ながら入園が認可されなかったということであり、保育園の定員が希望より少ないことを意味し、つまりは保育園が足りないということである。
保育園が足りないという問題のなかには保育士の不足があり、そこには低賃金重労働という問題が見え隠れしている。
また、保育園の規定上社会的ハンディの高い家庭から入園が優先されるので、落ちた家庭は比較的恵まれた環境にあるということが想像される。
しかし裏を返せば、落ちたことによって保護者(主に母親が該当)が仕事を辞めなければならなくなる場合も予想され、それではアベ氏が唱える女性の “活用” に逆行してしまう。
次に、「日本死ね!!!」である。
「死ね」という強烈なことばは、使用の適否はあるが、前文の「保育園落ちた」を受けてただならぬ強い印象をあたえている。
さらに「!」は通常ひとつでいいところを、3つも重ねられており、それだけ怒りの強さが伝わってくる。よく無意味に「!」を多用するフレーズを見かけるが、今回の場合は効果的に作用している。
そしてこの「日本死ね!!!」の部分は、この作者の見識の高さをあらわしている。
怒りの矛先を当該の保育園に向けるのではなく、そういう社会状況を許している政府や日本というシステムに向けられている点である。拍手である。
しかし、うがった見方をすれば、けっこうやけくそな気持ちも内包されているようにも感じる。
なんとかしなければ、ほんとうに「アベ政治死ね!!!」である。( -_-)
(photo:射水市新湊内川地区にて)