タマネギの効用
ずっと低血圧だった。といっても病的ではなかったが、朝はなかなかエンジンがかからなかった。
だから、朝から元気がないやつは怠け者だ、というような高説をたれる連中がうざいと思っていた。
ときどき通うフィットネスクラブでは、運動する前に必ず血圧を測ることになっている。そこで、あるとき、自分の血圧が高いことに気がついたのだ。
健康診断の基準値でいえば、高血圧の部類に入る値がつづくようになっていたのである。
オレは低血圧だと思い込んでいたので、運動前の血圧測定など気にもとめていなかったのだが、クラブのスタッフの指摘で我に返ったのだ。
血圧というものを意識した瞬間だった。
その日もトレッドミルで走ったが、このまま血圧が上がって倒れてしまうのではないかと不安になって、脈拍が上昇し息も荒くなってきた。
となりのマシーンで歩いていたおばちゃんが、不審そうな目を向けてきたので、早々にクールダウンして降りた。
今まで問題がなかったところに、難題がにわかに降りかかったような気分になった。落ち着くと思考がまわるようになったが、原因がわからなかった。
「ビール」か、「老化」か……それはろうかな? ……などとシャレている場合ではない。有効な手立てを講じないと、やがて血管が破裂してしまうかもしれない。
そこで、とある作家にならって、タマネギをスライスして生サラダにして食べる、という食事療法をやってみることにした。
タマネギは好きだしまったく問題はないと思っていたが、さすがに毎日では飽きてくる。
ドレッシングを各種そろえてそちらで変化をつけようかとも思ったが、ドレッシングは怪しげな材料や添加物が満載(とくに安い商品)なので、ちがう病気を誘発しそうになる。
なので、品質がいいドレッシングやマヨネーズを少量使用(高いので)して、できるだけ生の状態で食べる、というところに落ち着いた。
まあ、始めて一ヶ月もたっていないので効果のほどは明らかではないが、数値が上昇しているということはない。
しかし、朝はいまだに苦手だが、どうしてだろうか。(__;)
(photo:池田湖と開聞岳)