治療の日々

 自転車事故(自ら転倒)から10日あまり。縫った左目の下は抜糸も終わり、テーピングだけになった。
 地球に打ちつけて擦りむいたほおも、ようやく皮膚が再生された。しかし、ピンク色をした弱々しいできたての皮膚なので、外に出るときはしばらくガーゼなどで保護しないといけない。
 ケガ直後は、顔の手当状況をできるだけ世間にさらさないよう、大きなマスクをして外出していた。
 それでも目の周辺は隠しようがないので、サングラスも併用しようかと悩んだが、その状態でコンビニなどに入ると、店内にいらぬ緊張をあたえてしまいそうなので断念した。
 家人からは、なら眼帯でもしていけば、という代替案を示されたが、それだと今度は怪しげな伝染病患者にまちがえられ、店内にまた別の緊張をあたえかねないので却下した。
 という葛藤の日々を終え、今は、かつて罷免された “絆創膏大臣” のような顔になっている。僕も町内会長を罷免されるなら、喜んで、いや甘んじて受ける用意はあるのだがーー。
 このように、外傷は急ピッチで治癒に向かっているが、打撲やひねりはそうかんたんにはいかない。まだせっせと接骨院に通っている。
 肩から手にかけてシビレが出てきたらむち打ちだよ、と接骨院の先生にいわれた。落ち着かない日々を送っていたが、どうやら大丈夫のようである。
 首の張った感じはまだ残っているものの、少しずつ正常にもどっている。もともと首が細いほうなので衝撃には弱いと思っていたが、どうも頭が軽いらしくて問題ないようだ。
 ほんとうは、頭が軽い(中身が空っぽ)というのは人生において大問題なのだが、軽い頭もたまには役に立つのである。
 むち打ち症は『家庭の医学』によれば、ずいぶん後になって出てくる場合も少なくない、などと書いてある。だからまだ100%安心できない。
 しかし、『家庭の医学』ほど身体に悪い本はない。ついつい読みふけってしまうと、気がつけばいっぱしの病人になっている。
 そういえば最近、夜中に目が覚めるし、トイレも近くなったし、あ、ちょっと熱っぽいかも……。(;O;)