パンツについての一考察

 ときどきフィットネスクラブへ行く。マシンとたわむれ、たいていは汗をかくので、最後は風呂に入って帰る。
 風呂に入るときは、たいていは裸になる。周りはみな男である。当然、そうだ。しかし、男が趣味の男にとってはこたえられない環境だろうな、とときどき唐突に思う。
 ま、それはさておき、通常は見たくもない男の裸を見なくてはならない。そういうところでは同時に、見たくもない男の下着姿も目にするハメになる。
 そこに見られる、パンツといわれる下着の変遷はなかなかドラスティックである。
 少し前までは、圧倒的有無をいわさず、いわゆるトランクス派が多かった。老舗ブリーフ派はほとんどそのシェアを奪われ、徐々に歴史の片隅に追いやられようとしていた。
 女性にはわかりにくいかもしれませんね……たぶん。
 で、ところが最近では、新興勢力であるボクサーパンツ派の台頭がいちじるしく、巨大与党トランクス派のシェアを浸食し出した。いいトシをしたオッサンまで着用しはじめている。
 何もオッサンが穿いていけないわけではないが、パンツ着用歴が浅く新しい環境に適用能力が高い若者ならともかく、年配者が褌からブリーフへ、さらにはトランクスからボクサーパンツへと、かんたんに宗旨替えするのもいかがなものか、とふと思う。
 長年フィットネスクラブへ通っていて、さすがに褌男を見たのは1回だけである。しかし今や、ブリーフ派は絶滅危惧種化している。
 ところがときどき、白いブリーフのおじさんを見かけるのである。ほとんどシーラカンスである。
 でもね、じつは衣料品スーパーなどへ行くとまだけっこう売っていたりするのである。密かに需要があるみたいだ。
 ものすごいビキニのブリーフもごくたまに見かけるが、あの手はちょっと統計対象から外れそうなので除外する。(*_*)
(photo:京都高山寺にて。晩秋)