ホテル物語

 ホテルは星の数ほどあるが、ホテルの星は5つまでである。海外ではあまり窮屈な思いをしたくないし若くもないので、いつも3つ星から4つ星のホテルを選んでいる。
 ところがこのレベルは、日本語能力中級者と同様、実力のバラツキがとても大きくて、当たり外れもかなりある。
 じつは、麗江に来て2回宿替えをした。つまり、ホテルを3つ渡り歩いた、ということだ。移動の旅をしたわけではない。市内を転々としたのである。
 最初のホテルは、ポリシー(死語だね)を曲げて5つ星にした。連れ合いを喜ばそう、などと似合わないことを考えたのがいけなかったのだろうか。
 そのA酒店は、古城エリアに近くて確かにロケーションはよかったが、見てくればかりの宿だった。ナシ族の古い屋敷風のホテルはゴテゴテしていて、鑑賞にはいいのかもしれないが、とても実用的とはいいがたかった。
 金庫のなかのような部屋はせまいしレイアウトも悪く、無線LANのインターネットも電波が弱くてほとんど使いものにならなかった。
 そこを2泊で逃げ出した。これに懲りて、次は、民族風ではないふつうタイプのB飯店にした。ところが、部屋に入ってトイレを使おうすると、前の客の置き土産があり閉口してしまった。
 そこもおかしなホテルだった。愛想のカケラもないフロントの女子は、満員だといっていたが、朝晩人の気配があまりしなかった。おそらく、朝早くから夜遅くまでめいっぱい行動する、中国人の団体客が多かったのだろう。
 お湯が出ない壊れたシャワーや、深夜にかかる按摩案内の怪しい電話。クレームをつけても対応しない従業員のモラル。とても4つ星には値しない糞ホテルだった。
 で、そこも2晩で引きはらった。そして、今のC酒店にたどりついた。ようやく落ち着きを手に入れた。つまり、通常の4つ星のサービスを提供しているホテルだった。ふう〜。
 麗江は観光都市である。町にはさまざまなレベルのホテルがひしめいている。おそらくまだ需要のほうが多いのだろう。いいかげんなホテルでもやっていけるような環境である。
 しかし、荷物をひきずっての宿替えはじつにめんどうくさい。(-_-#)
(photo:古城エリアにて)