年の瀬にふと思う

 どうやらマヤ暦は「第一部」だったようである。しかし、暦をつくった本人たちがもうすでに地球上にいないので、「第二部」を勝手につくっていいものだろうかと思う。
 あれはマヤの人々の予定だったのではないだろうか。とすると、ずいぶん予定より早く切り上げてしまったものだ。
 でもおもしろかったでしょ? このカレンダーは。とばかりに、天空から見つめてニヤリとしていたかもしれない。
 どうせ人類が滅びるのなら、最後の日まで好きなことをしておもしろおかしく過ごそう。さあ、酒池肉林じゃ! とばかりに享楽の日々を送ろうと僕は画策してきたが、いつの間にかいつもどおりの年末進行、師走の混乱にさらされてマヤ暦など忘れていた。くやしい。
 で、気をとりなおすと、そろそろ2012年という年の総括をして来年の抱負のひとつやふたつを密かに胸に抱き、ヒヒとほくそ笑む時期にさしかかってきたのである。
 ところが総括はいいとして、ほくそ笑むようなネタがまったくない、ということに残念ながらすぐ気がついた。
 ほぼ失業者の僕は、ほぼ2〜3日おきに、ほぼ世のため人のため何の役にも立たないブログを更新し、ほぼ毎日ビールを飲んで、ほぼ週に2回ぐらい日本語をおしえて、ほぼ2日に一度ぐらい西の空を見上げてフフと笑い、ほぼ……ほぼの意味がほぼわからなくなってきた。
 「ほぼ」と「だいたい」はどうちがうのですか? と留学生から質問されたこともあった。ほぼ適切に答えたつもりだったが、彼は納得していない様子だった。ーー「ほぼ」から離れよう。
 ようするに、原発が息を吹きかえし、TPPという未知との遭遇におびえ、中国と危険な意地の張り合いをし、たまに北朝鮮から “人工衛星” は飛んできて、ガタガタの経済に呆然としながら、高齢社会にまた呆然とし、雇用問題はあいかわらずだし、あまつさえ国民があまり望んでいない憲法改正という時間のムダをこの時期にやろうとしている日本にあって、明るい2013年を思い描くことはなかなかむずかしい。(+_;)
(photo:上海浦東新区にて)