調子に乗るとある日突然
あたりまえだと思っていたことがそうでなくなったときは、人間あわてるものである。
たとえばパソコンだーー。そこには2種類の人間が存在する。操作しないときに、シャットダウンする人とスリープにする人、である。
パソコンの安全性保持の面からいえばシャットダウンしたほうがいいのだが、いちいちめんどうくさいし、立ち上げ・終了に時間もかかるから、僕などは昼間はスリープにしている。
それでたいがい問題ないのだが、世の夫婦間問題同様、予期せずいきなり紛争が勃発するのである。
そのときになって、朝から晩まではたらきづめにさせたのはまずかったかなとか、そういえばずいぶんぞんざいに扱ったかなとか、あるいは、ときどきはやさしいことばのひとつもかけてやるべきだったかなと反省しても、おそいのである。
いや、パソコンの話しですーー。
じつは先日の夜、我が愛機(愛妻ではない)が突然、機嫌をそこねたのである。
眠っているはずだったのだが、たたき起こしても顔が真っ黒で、呼んでもたたいても反応がなく、ただ唸り声だけを発していた。……パソコンの話しですよ。
それで、一瞬パニクってしまったが、幾多の修羅場をくぐってきた経験がそうさせたのか、無意識のうちに強制終了していた。
シャットダウンされ静かになると、本体からもわりと熱気が上がってきた。ずいぶん熱も高かったようである。そういえば、その日は真夏のような気温だったから、暑さにやられたのだろう。
しかし、このまま死んでもらっては困る。最近手荒に扱ってきた相棒(パソコンは男性名詞だろうか女性名詞だろうか?)に心で詫び、復活を祈った。
熱がとれたころ、再び立ち上げた。強制終了で負ったダメージを回復するための、ずいぶん長い自己修正処理を経ていつもの顔(画面)が帰ってきた。
ほっと胸をなでおろした。バックアップをずっととっていなかったからヒヤヒヤした。
10年ほど前、クルマのイグニッションキーが突然回らなくなったことがある。そのトラブル自体、そうとうレアなケースだったらしいがーー。
エンジンがかからなかったのなら、最悪バッテリーを交換すればいいが、そもそもエンジンをかける操作ができないのだからどうしようもない。
ときどき山へ行くが、山中で発生すれば途方に暮れるどころでなはい。
ものごと順調にいっているときこそ、要注意である。
と思って我が身を振り返るが、ニヤリと笑みがこぼれることなどひとつもなかった。
それもまた要注意だなぁ……。(^_^;
(photo:本場ベトナムフォーを作る。日本語学習者との料理教室にて)